ロシア横断を終えての感想


150日をかけてロシアの
ウラジオストクからモスクワ9000kmを自転車で走り終えることができました。
どうでしたか?と聞かれたら、
「本当に良かったです。またいきたい。」と答えたいです。
風景は非常に美しかったです。
シベリアの広大な森林地帯。
モンゴルへ繋がる新緑の大草原。
北極海へと続く大湿地帯。
世界最大の湖、バイカル湖。
アジアとヨーロッパの境目ウラル山脈。


まっすぐに続く道をひたすら進み続けます。
単調で飽きるのではないか?とも思えそうですが、最後まで飽きることは無かったです。
森をみる時間、草原をみる時間は
色んな事を考えることのできた価値のある時間になりました。









よくロシア人は無愛想と言われていますが、
たしかに無愛想な人はたくさんいます。
でもそれと同じぐらいにありえないぐらい底抜けに親切で、
真心の笑顔で対してくれる人もそれ以上にたくさんいました。
ロシアを走れば走るほどロシア人のことがすごく好きになっていました。
無愛想な表情も愛することができるようになりました。




過酷な自然環境の中で、
自然に抗い、自然に順応し、たくましく生きるロシアの人々。
日本からほど近いこの土地でこのような生活が
営まれていること自体が非常な驚きでした。







ロシア・シベリアの情報は日本ではなかなか手に入りません。
情報の無いシベリアを自分の足で走る面白さ。
発見する面白さ。
その冒険心がロシアの旅を面白くしてくれたと思います。




食事はとても美味しく毎日が楽しみでした。
道中のカフェでは地元の村のおばちゃん手製のロシア料理を食べる事ができます。
味は何重にも深みがあり日本人の味覚に合う料理が多いように感じました。











道は99%舗装でした。
最初から最後までアップダウンは非常に激しいです。
でも最後まで走り終えた後の達成感は大きいものがありました。





たくさんの動物に出会えて道中すごい癒されました。
ヘラジカ・ハリネズミ・キツネ・牛・馬・ヒツジ・ペリカン。
ビーバーにも出会いました!
草原には小さなネズミもいます。
運が良かったら?森で熊にも出会えるかもしれません。



ビザは日本にあるロシアビザセンターで90日のビジネスビザをとることができます。
ビジネスビザですがちゃんと入国できました。
時間はたっぷりあるので途中ビザの事は忘れて走ることに専念できました。
物価はだいたい日本と同じぐらいです。




道が一本ですから色んな国のチャリダーやライダーに出会う事ができました。













飛行機や電車を使った旅ではなく、自転車の速度での旅だからこそ
感じられるシベリアの魅力が多くあったことを強く確信しています。





■なぜ外国か?

高校の時、世界地図を見るのが好きでした。
世界地図を見ていると、
地の果てと思えるような所にも人が住んでいる印が付います。
そんな地の果てに見える所には、
どんな人が居て、どんな生活しているのか、毎日どんなことを考えているのか。
自分の目で見てみたい、そう思ったのが、外国に行きたいと思い始めた最初です。

私達は2人とも大阪生まれの大阪育ちです。
大きい意味で見て世界の中で日本は非常な都会です。
自分が生まれ育った非常な都会の、反対の世界を見てみたい。
そうゆう思いがとても強くありました。

その反対の世界の持つ良さを知ることで、都会の持つ悪さがわかるのではと思うし、
反対の世界の持つ悪さを知ることで、都会の持つ良さがわかるのではないでしょうか。

日本にいる限り永久にも続きそうな人間関係や時間を
外の世界に少し長く行くことで、
一度大きい空白時間をおいて見ることができるようになります。

世界の広がりを知ることで
生涯にわたって自分の後ろにその広い世界があり続けてくれます。


■仕事と旅

生きているうちに自分の夢の実現に
生涯どのくらいの時間をさくことができるのかと考えることがあります。
例えば日曜日が休みだとすると、
週7日のうち6日は仕事や学校などで純粋な自分の時間ではありません。
人生70年だとすると、そのうちの60年は、純粋な自分の時間ではありません。
ただほんとうにやりがいのある楽しい仕事につけた人はそうではないです。

私達は結婚する前は2人とも外国をあちこち旅行していて、旅先で知り合いました。
結婚の時に将来の計画を立てました。
子供はつくらず、今から10年おもいっきり働いて貯めて、
その後会社をやめて10年旅行しよう、と決めました。
それがうまくいけば人生7分の1休みではなくなって、
もしかしたら人生半分休みになりそうですよね。
自分の夢の実現に大きな時間を割くことができるようになるはずです。

結局、結婚後、7年間それぞれ働いて2人で1500万円貯金でき、
家も小さい中古ですが購入できました。
目標金額に達したので仕事をやめ、旅を始めることにしました。


「豊かな青春、惨めな老後」とゆうバックパッカーの標語?があります。
色々考えるきっかけをくれる標語だと思いませんか!?


■アウトドアについて

しげも私もアウトドアが大好きです。
知り合う前からそれぞれ山登りやテントや自転車旅が大好きでした。

しげが若い頃チベットに何年か行っていた時の体験からです。
草原の遊牧民のチベット人。
電気も水道もない草原地帯で何百年と変わらない暮らしをしている人達が今もいます。
そのチベットの遊牧民は春、草原の花が咲き美しい小川が流れる季節になると
みなテントや絨毯や食べ物を持って草原に行って寝泊りして遊びます。
お弁当を食べたり、綺麗な小川で水遊びをしたり、きのこ探しをしたり。
日常の生活自体が非常に厳しいアウトドアのような暮らしをしているのに、
生まれた時から大自然に囲まれ生活しているのに、
更に花や小川を見るために草原にわざわざ出てゆくそうです。

自然の少ない都会で生まれ育っていなくても
人間には最初から、美しい自然を感じてみたい、
とゆう欲求があるのだと思います。
それは今回ロシアに行っても同じ思いを持ちました。

寒い夜、テントの中で暖かい寝袋に入って、大きい空を感じている時、
草原で夕日を見ながらガスストーブで作ったラーメンを食べている時、
すごく幸せだなと私達は感じます。